• 入会案内
  • お問い合わせ
  • 日本微生物学連盟

会員サービス

  1. ホーム
  2. 会員サービス
  3. 話題のコーナー
  4. 腸内細菌科菌群とは

食品微生物の基礎知識

腸内細菌科菌群とは

平成23年9月に告示された生食用食肉の規格基準には、日本では初めて腸内細菌科菌群が採用された。腸内細菌科菌群とは、Violet Red Bile Glucose Agar(VRBG寒天培地)上でピンク色、赤色、紫色の集落を形成する、ブドウ糖発酵性でオキシダーゼ陰性の菌であると定義されている(ISO 21528)。

国際的な細菌分類学書であるBergey’s Manual of Systematic Bacteriologyには、Family Enterobacteriaceae(腸内細菌科)として42の属名と約170種類の菌名が記載されている。臨床細菌学の分野では、腸内細菌科に属する菌を一般的に“腸内細菌“と称している。しかし、“腸内細菌“の用語を食品衛生学に適用すると、ヒトや動物の腸内に存在する菌と誤解される可能性があるので、この混乱を避けるために腸内細菌科菌群の和名が与えられたと思われる。

腸内細菌科菌群には、大腸菌群の定義から外れる乳糖非分解性の主要な腸管系病原菌であるサルモネラ、赤痢菌、エルシニアも含まれる。腸内細菌科に属する菌のうち、日本で食中毒菌に指定されているプレシオモナス・シゲロイデスは、オキシダーゼ陽性の性状から腸内細菌科菌群からは除外される。代表的な衛生指標菌の相関を図に示した。

腸内細菌科菌群は、分類学的な位置づけが明確であることから、大腸菌群に代わる衛生指標菌として欧州連合で汎用されている。著者の経験からは、乳糖分解性とガス産生性を指標とする大腸菌群にくらべて、腸内細菌科菌群の判定に悩むことは少ないと思われる。(浅尾 努)

腸内細菌科菌群とは